青い百合は戦場の中で咲く ~女性兵の戦場録~
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現フロルラン共和国の前身フロルラン王国の英雄、オルランド・L・レオナルディ将軍に関する手記、と言えるかもしれない。彼は、戦史上類を見ない大胆な機動戦術と戦略を用い、数多くの優秀な将星を率いて混乱するフロルラン王国の、救国の英雄となった。フロルラン国最大の英雄は、今なお数々の分野での研究対象であり、世界の多くの人々が今も彼に惹かれている。
だがこの手記の主な主人公は、レオナルディ将軍の異母妹、ニナ・レオナルディに関する手記である。
名前はニナ・ポリーヌ・レオナルディ。兄と同じフロルラン陸軍に所属した女性兵士であり、戦場で大きな活躍が記録として残っている。だが、その活躍は短く戦死したとも、反逆者として処刑されたとも言われ、15歳から17、18歳の頃までの記録しかない。
その戦果と、悲劇性から後年、短命の象徴とされた「青い色の百合」の名を冠された。
これが彼女の歴史の定説である。
だが、この手記は彼女が生きており、エンドラント王国の名君である、アリーテス朝第4代女王「アリス一世」の配下として、海洋帝国への道をひた走るエンドラント王国の下で戦ったと記されていた。
歴史にifはない。だが、定説は新たな発見と技術の進歩によって大きく変わってきた。新たな発見は大きな興奮を呼ぶ。それが、ロマンを秘めるなら尚更だ。
詳細に、そして丁寧に記述されたこの手記は大きな説得力を持つ、と私は考えている。私は、この消えた女性兵士の足取りを追うと共に資料と証拠、そして手記を基に彼女の物語を、此処に書き記して行こうと思う。
私は、アルバート・B・ラウロ。この物語が、「青き百合のニナ」への興味を、あなた方にもたらしてくれれば幸いだ。